2021.12.3「もうカッコつけてもしょうがない」──人気声優・櫻井孝宏の初エッセイ集『47歳、まだまだボウヤ』

 

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鬼滅の刃』の冨岡義勇役や『呪術廻戦』の夏油傑役など、人気作に多数出演する人気声優、櫻井孝宏の初エッセイ集が10月28日に刊行された。“SNSを一切やらないアナログ声優”として知られる櫻井に、今の気持ちを訊いた。
By 横山芙美(GQ)

2021年12月3日

 

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取材や撮影のさい、スタイリストをつけることはほとんどないという。

「好きなブランドはあるのですが、年齢を重ねるにつれ、洗えるものや着心地がいいもの、というのが服を選ぶ基準になってきました。スタイリストさんをつけている声優さんたちの集まりでは多少浮くこともありますけど、無理をしないで自然体でやっていけたら、というのが今のスタンスです」

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「自然体」というワードは、彼の初エッセイ集にもあてはまる。

「“47歳、まだまだボウヤ”というタイトルを決めたのは編集さんです(笑)。自分が案を出すならもう少しカッコつけたいと思ったでしょうけど、内容と照らし合わせてみるとピッタリだった」

エッセイのテーマは、声優という仕事のこと、尊敬する先輩たちのこと、何千枚も集めているレコードのこと、ハマっているゲームのこと……と多岐にわたる。そのなかでも大きなウェイトを占めているのが子ども時代の話だ。

「声優やラジオの仕事とは違って、文章を書くことは、自分と向き合い、自分のことを掘り下げる作業でした。だから自然と、子どもの頃のことや家族の話が中心になってくる。今年でデビューから25年が経ちますが、いまだに10代の頃に培った価値観が大きく影響しているんです。ちょっとひねくれていて、うじうじしている自分。そんなもうひとりの自分が、大人になってドライにものごとを決めようとする私を、いつも立ち止まらせてくれる」

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