『劇場版 呪術廻戦 0』櫻井孝宏インタビュー他

呪術廻戦公開にあたり、櫻井さんのインタビューが沢山公開されました

面白いインタビューが沢山あったので記録に残しておこうかと

 

www.cinematoday.jp

2022年1月3日 (取材・文:壬生智裕)

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主人公に立ちはだかる敵として大きくクローズアップされている。そんな夏油のことを、櫻井自身は単純な敵役、悪ではないと感じている。

 「主人公たちとの対立構造があって、どちらかというと悪の側なので、見え方的には“悪役”という風に置かれてしまいますが、いわゆるステレオタイプの悪というよりは、理由と事情があってそうなったということもあります。そういう意味で、五条と夏油の関係性というのも重要なポイントになっていると思います。だからことさら悪くしようという意識はなかった」とその役づくりについて明かす。

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クリスマスイブに物騒なパーティーを催してしまいますが、よかったら劇場に足を運んでください」と観客にメッセージを送った。

 

櫻井孝宏、『呪術廻戦』夏油傑役を語る 劇場版とテレビシリーズで異なる表現に挑戦

2022年1月1日 (取材・文:SYO 写真:松林満美)

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――過去編である本作に挑むにあたり、「改めてキャラクターを精査し直した」上で朴性厚監督、音響監督の藤田亜紀子さんと練っていったと伺いました。新たに見えてきた夏油傑の特徴や、テレビシリーズとの違いの部分をぜひ教えてください。

櫻井:「テレビシリーズの夏油とは色分けをする・表現を変える」がまず命題としてあって、原作と台本を読み返しながら「自分の中ではこういうアプローチでいこうかな」というものを準備し、その上で監督のジャッジを仰ぎながら作っていきました。最初にティザー映像用の収録をいくつか行って「こういうフォルムにしようか」というのを決めてから本編の収録に臨みましたね。

テレビシリーズにおいては、初登場が呪霊たちとファミレスに入ってくるシーンだったこともあり(第5話「呪胎戴天-弐-」)、ちょっとおどろおどろしい表現にトライしようかとも考えたのですが「爽やかにやってほしい」とオーダーが来ました。あまり説明的にやるよりは、ちょっと底が見えないようなひらひらとした感じですね。もしかしたらこの態度は表層で、「本当はもっといろいろなことを考えているんじゃないか」と見ているほうが勝手に想像するような“煙に巻く”表現で、というのが元々あったんです。

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――櫻井さんはレコードの収集家でもあり、ご自宅でレコードを聴きながら台本を読むこともあると伺ったのですが、今回もそうでしたか?

櫻井:今回はそうではなく、がっつり読み込んでいました(笑)。もしかけるとしたらプライマル・スクリームのアルバム『スクリーマデリカ』でしょうか。マンチェスター・ムーブメントの系譜にあるバンド――あるいはダブ(エフェクトを強くかけた曲)的なもの、同じフレーズがループするような音楽をかけると思います。クーラ・シェイカーの「ヘイ・デュード」も似合うかもしれません。ダンスサウンドまではいかないのですが、ちょっとドラッギーでサイケデリックな曲のイメージがありますね。でも、聴きながらやっていたらヤバかったかもしれません(笑)

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――『呪術廻戦』に流れるジャンプイズム、ぜひ幼少期からのジャンプ愛読者である櫻井さんにご意見を伺いたいです。

櫻井:『呪術廻戦』ってジャンプっぽさとジャンプっぽくなさの両方を兼ね備えていると思います。昔はジャンプ、サンデー、マガジンといった少年漫画誌それぞれにはっきり色分けがあって、ジャンプは「友情・努力・勝利」のような熱血のイメージがありました。

『呪術廻戦』はそことはストレートに結び付かないですが、不思議と読んだときに「ジャンプっぽい」と感じたんです。それはきっと、自分が見てきた作品のエッセンスがちょっとずつ含まれており、良い意味でのサンプリングが巧妙に入れ込まれているからな気がします。その上で、“呪い”や“呪術”といったおどろおどろしいものをスタイリッシュかつ素晴らしいデザインで表現されているので、すごくカッコいい作品だと思っています。

mantan-web.jp

2022年01月01日

◇額に縫い目がない夏油傑 「明確に違いを表現したい」
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 「テレビシリーズでは、夏油は額に縫い目がある状態で出てきて、『0』になるとそれがない。時系列で考えても、やはりキャラクターの表現的にはアプローチを変えなければいけないなというのがありました。自分一人では決められないので、監督、音響監督と相談しながら何回かトライして、この方向性でいきましょうと。ただ、それも淡い変化というか、緑と黄緑みたいな」

声の音色を含め微妙な変化を表現することは「私の中では難しい取り組みでした」と語る。

 「明確に違いは表現したいと思ったのですが、それが線のようにくっきりと見えてしまうのはどうしても嫌だったんです。できる限りのことはやったので、後は見てくださる人に委ねようかなとは思っています。ただ、今後また夏油を表現することになったとしたら、それはそれで私に呪いがかかったようなものなので、難しくなったなと思っているんですけどね

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櫻井さんは夏油を「本来の人間性は皮肉屋」と感じているという。

 「一枚も二枚も裏がありそうな雰囲気ではあるんですけど、本来の人間性は皮肉屋で、話す内容と音色にギャップがあるような、そういう人なのかなと。五条だけに見せる夏油像というか、夏油の生っぽい部分も表現できたらと思っていました。特に終盤の二人のシーンは、夏油も素に近い。ただ、本当に素かどうかというと、薄皮一枚ぐらいはかぶっているような。本音めいたものは吐露しても、丸裸ではない。もうそこには戻れないでしょうから。私の自己満足かもしれないのですが、その辺りの夏油の揺れを表現できていたらなと思います」

櫻井さんは劇場版を「思いやり、愛情にあふれている作品」と表現する。

劇場版の大きなテーマは愛だと思います。乙骨と里香のエピソードのベースにあるのは愛情の物語。また、愛とまでは言いませんが、五条と夏油の間にも今でもどこか通じ合っていると思うんです。元々は同級生だった二人の関係性が、今では裏返しになってしまっているように感じます。乙骨と里香、五条と夏油は、本来なら自分にとってプラスになりえた存在が、逆に呪いになってしまっている。そこはこの作品ならではの描かれ方だなと思いました」

 

オリコンニュース - 中村悠一&櫻井孝宏『呪術廻戦』夏油VSパンダに爆笑 映画史にない?組み合わせ「最高」| 南日本新聞 | 373news.com

2021-12-27 

映画を観た感想について夏油役の櫻井は「パンダとのバトル、最高でしたね」とニヤリ。これに五条役の中村も「映画史にないんじゃないですかね? お坊さんとパンダが戦う映画はないですよね」と笑いを誘った。

 一方、パンダ役の関は「櫻井君とは、(別作品で)ありとあらゆるシチュエーションで幾度となく、死闘を繰り広げる機会が多くて、パンダとお坊さんで戦うことになるとは思いませんでした。ここから先が怖いですよね、何で今度、出会うのか」と苦笑いした。

 

www.mensnonno.jp

2021.12.22

──『劇場版 呪術廻戦 0』の物語を台本で読まれて、どんな感想を持ちましたか?

呪いという言葉を見たり聞いたりすると恐ろしいものですが、五条(悟)が「愛ほど歪んだ呪いはないよ」というように、人間が持つすごく強い感情である側面もあると思っています。劇場版は、愛と呪いはニアリーイコールであるとする奥深い物語を見事に、そしてわかりやすく描いているので惹かれますよね。

──誰もがわかる愛をテーマに呪術廻戦がもつ呪いの世界がきれいに結びついた最高のエピソードだと思います。劇場版で再び夏油 傑を演じると決まった際、どんなお気持ちでしたか?

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五条と掛け合うシーンでは、二人の関係が特別なので朴(性厚)監督や音響監督さんからレクチャーを受け、収録に臨んでいました。

──特別な関係とは?

かつて呪術高専で同級生であったこと。二人が交わすセリフは他とは距離感の違うやりとりが多く、どこかこれまでの関係性をほのめかしたり、彼らの間にしか通じない言葉があったり、周りで見ているとよく知った知り合いなんだろうという間柄を感じさせるものが多いんです。

おそらく夏油は、呪術高専のメンバーと対峙しても強敵である五条と乙骨のことしか見ていなくて、他の人たちを気にしていないので、同級生だった頃の距離感のような柔らかい雰囲気になっているんじゃないかなと想像もしましたね。その点では、発話の仕方でじわっと印象が変わるような表現を目指したつもりです。

 

news.dwango.jp

2021/12/24

 

ddnavi.com

2022/1/12

(取材・文=吉田大助 写真=山口宏之)

あえて爽やかにすることで底知れなさが伝わっていく
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赤信号ではちゃんと止まって、ちゃんと青信号になってから横断歩道を渡った先でファミレスへ入る時に、絵としては呪霊たちと一緒にいるんだけれども、店員さんに“1名様のご案内でよろしいですか?”と聞かれて、夏油は“はい、1名です”とにこやかに答えるんです。そうした叙述的な仕掛けもあいまって、夏油は人間なんだけれど呪霊側にいるんだということが伝わってくるんですよね。その後は普通にテーブルへ座って漏瑚と物騒なことを喋り続け、漏瑚が店の中で大変なことを起こしても、止めるでもなくにやにやしている。そもそも、何もファミレスで喋らなくたっていいわけじゃないですか。なのにわざわざファミレスに来ているところが示唆的というか意図的というか、人間に対する強い悪意のようなものを感じるんですよ。このシーンは、夏油を理解していくうえでの大きなヒントになりましたね

このシーンのアフレコ時は、スタッフからの提案を受け、演技のチューニングをした部分があるそうだ。

一番初めのトライの後、“もっと深夜のファミレスで友達とだべってるみたいな感じでいいですよ”というディレクションをいただいたんです。脚本と原作を読んで先々の展開まで知っていたこともあり、無意識のうちに悪者っぽさというか怪しさをだいぶ出しちゃっていたみたいなんですよね。でも、説明的なキャラクター作りをしてしまうと、逆に小物っぽくなってしまうというか、チープになってしまう。あえて爽やかにしたり軽やかに見せたりすることで、この人の底知れなさが伝わっていく。だから、その後もわりと基本、爽やかにやっています(笑)